【第51話】 第13回日本小児漢方懇話会

 9月15日、私は東京で開催された小児漢方懇話会に参加しました。耳鼻咽喉科医である私がどうして小児科の先生の集まりに参加しているのでしょうか?それは、現実にたくさんのお子さんを患者として診ているからです。もちろん、小さなお子さんの中耳炎や鼻炎が長引きやすいことは確かですが、総じて病気にかかりやすい何かと発達段階にある『子供』という全体像を漢方医学的な視点で捉え、そこからアプローチすることは大変重要なのです。この会を創始されたカリスマ的な小児科医・広瀬滋之先生(故人)に要請を頂き、4年前に口演しました。「およそ耳鼻咽喉科医は患者であるお子さんをひたすら通わせ、鼻の吸引処置と通気(ラッパもしくはガッコ)を永遠と毎日のようにさせるだけである」という周囲の冷やかな軽蔑の眼を打ち払い、根本から治そうとする漢方耳鼻咽喉科医の意気込みを示しました。

 さて、今年のテーマは『補脾剤の考え方・使い方』(消化吸収機能低下に対応する漢方薬について)です。
さかざきKIDSブログに、坂崎弘美先生は、次のように紹介されました。

 

 私は川嶋浩一郎先生の「芍薬と甘草を中心とした各構成生薬の補脾に対する重要性と本草学的・薬理学的エビデンスに基づいた関連処方の運用のポイントについて」という口演に生涯忘れられないぐらいのインパクトを感じました。「虚を補い小児の百病を治す」とされる黄耆建中湯を多用するところは当院と全く同じなのですが、その運用理論の圧倒的な分厚さに背中を押されるような大きな力を頂けたからです。

 また、普段お話することの少ない小児科の先生方、しかもその中でも、漢方も駆使される全国的に知られた名医の方々とお話できる点においても、この会は私にとって大変貴重な機会となっています。今回もシンポジストの川嶋先生や小川先生だけでなく、座長の山口英明先生や新井勝先生、それにテレビ出演も多数の森蘭子先生や坂崎先生などたくさんの先生方とお話し、直接ご指導を頂きました。森先生と坂崎先生は最近、「漢方レディース」というチームを結成されたそうです。小川先生には新幹線の車内で査読を頂いたお礼だけでなく、2月に金沢で名店をご案内して頂いた恩義 もあり、 NINJA  AKASAKA という外国人を接待したら「間違いない」と言われている忍術修行と創作和食のお店にご案内しました。漢方談義に大輪の花が咲いただけでなく、私の粋な『おもてなし』が功を奏し、昨年10月は寂しいことに一人ぼっちで訪れた「上質な国産黒毛和牛とプレミアムワインの価格破壊」で知られるお店 『トリプルアール にまでご同伴頂くことが出来ました。