【第153話】 ドクターズファイル 中編

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勤務医時代、めまいや耳鳴りでお困りの患者さんが多く来院されるにもかかわらず、西洋医学にはそれに対する医薬品のレパートリーが非常に少なく頭を抱えていたんです。そんな矢先、漢方に出会い、勉強するようになりました。そして、以前院長を務めていたクリニックで、西洋医学のプラスアルファとしてでなく、常用で漢方の処方を試みることに。最初は患者さんに受け入れていただけるか不安もありましたが、結果、院長就任直後から連日患者さんでいっぱいでした。経験を重ねるにつれて、手術をしなくても症状を改善して差し上げられる範囲が広がっているのを感じます。考えたら、以前は多くの手術を手がけてきた僕が、今は手術をしなくても済む治療をしているだなんて面白いですよね(笑)。でもそれが開業医としての醍醐味でもあるし、患者さんにとってもそれが望ましい治療法だと思っています。

 

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例えば耳鳴りについては西洋医学の治療だと、それが気にならなくなるようにする緩和療法にとどまっているのが現状です。けれど東洋医学ではまず、ストレスや体の冷え、腎機能の衰えなどといった原因を突き詰め、体の根本から改善を図っていきます。結果、耳鳴りだけでなく、体全体の調子を整えることができるのです。風邪といった身近な症状にも当院では漢方を処方しています。東洋医学だと細かい症状に応じたアプローチが可能になるんです。その他、必要であれば点滴も行っており、漢方と併用することで、より効果が期待できます。患者さんに合わせて、西洋医学と東洋医学の両方を取り入れたオーダーメイドの治療を行っているのが当院の特徴です。

 

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保育園に通う頃になると、お子さんは耳や鼻のトラブルを発症し始めますが、一方でそうしたトラブルと無縁の子もいるものです。その一つに免疫力の違いがあります。そこで免疫力を高める目的で、お子さんにも漢方をお出ししています。それから、中耳に液体の溜まってしまう滲出性(しんしゅつせい)中耳炎での来院も少なくありません。一般的に行われる鼓膜の切開、鼓膜チューブ留置術といった外科的処置も必要に応じて行いますが、それでは根本的な原因を解決したことになりませんので、東洋医学のアプローチも大事になります。漢方の服用が初めての場合は、その指導も行っていますのでご安心ください。お湯に溶かしたり、シロップに混ぜたりと工夫をすることで、当院では9割以上のお子さんが問題なく服用しています。また、ご希望に沿い、錠剤タイプのものを処方することも可能です。