【第50話】 ゲッタマン

 9月14日、私は新幹線のぞみ号に乗って、東京へ向かっていました。
第13回日本小児漢方懇話会へ出席するためです。この車内で、偶然にも3人の有名人を見つけました。一人は、西武ライオンズなどで活躍された工藤公康氏です。お疲れのご様子でもあり、話しかけることは出来ませんでした。もう一人は、先日開催された 和漢医薬学会学術大会 で実行委員長を務められた小川恵子准教授です。小川先生は以前お会いしたこともあり、トイレに移動中の私と目が合い、「じぇ、じぇ!」ではなく、食器棚の扉を開けてゴキブリを見つけた時のような突拍子もない太い声をあげて下さいました。漢方講演や学会のシンポジストとして引っ張りだこの漢方エキスパートにせっかくお会いできたので、まもなく出版予定で校正段階に入っている私の原稿を見て頂きました。貴重なご意見を頂くことができました。

 私の前の座席では、あの『ゲッタマン』が座って原稿をチェックしておられました。ゲッターロボでもガッチャマンでもありません。私の大好きだったテレビ番組『スタードラフト会議』でブレイクされた 健康運動指導士 です。私はこの頃、耳鳴りの患者さんに肩甲骨をほぐす体操などを指導することもあり、以前から彼の持論に大変興味を持っていました。彼もまたお疲れのご様子で、痰のからんだ咳を再三繰り返しておられました。
こうなると、治してあげたくて仕方ありません。乾性咳嗽ではないので、麦門冬湯よりは五虎湯が合っていそうです。どうせなら劇的に治してあげたい。鼻汁が出ていないか、のどは痛そうではないか、発熱はないか、そっと観察しました。しかし、新幹線の車内でそんな余計なお世話をするのもどうかととまどい、小川先生に相談しました。小川先生はその番組をご存知でなく、「私は工藤選手が好きだったので、彼に補中益気湯をあげたい」とおっしゃられました。そこで、ゲッタマンに怪しまれないように名刺とともに五虎湯をプレゼントしました。彼はとても喜んでくれ、講演活動が忙しく、風邪をひいて喉を痛めてしまった経緯をお話して下さるとともに、最近出版された本をプレゼントしてくれました。アンチエイジングに長けた彼が私と同年齢であることと毎年ホノルルマラソンを下駄ばきで完走する現地で話題の有名人であることがわかりました。

 私がどうして『スタードラフト会議』をよく観ていたかというと、ダンスバトルが大好きだったからです。
特に『オンパレード』を応援していました。さて、ダンスといえば、大阪小児科医会誌に「新人理事のダンスな日常」を投稿された坂崎弘美先生です。この懇話会でも元気がもらえる『魔法の笑顔』を拝ませて頂きました。普段から小児科疾患に関していろいろとアドバイスや生駒ラムネのお裾分けなどを頂き感謝しています。ちなみに私のとっている不可思議なポーズは『あまちゃん』のダンスアイドルユニット『アメ横女学園』や地元アイドルユニット『GMT』のプロデューサーである荒巻氏の腕組みを真似したものです。ふふ。