【第5話】山水館

2月9日は亡き母の命日であり、今年もその法要を行いました。

母のお墓は、奈良の生駒山のお寺にあり、そこを訪れた後、親族に私の医院をお披露目しました。つまり、バリ島やスリランカで活躍する現役ダイバーの父と東大阪市で耳鼻咽喉科医院を営む妹も参加しました。

母は、57歳の若さで車にはね飛ばされ、2日間だけ入院して亡くなりました。その前年、私の家の大掃除に突然、母が現れ、甲斐甲斐しく働く姿に、なんと優しく有り難い存在なのだろうと思い、いつか素晴らしい旅行をプレゼントしようと決意した矢先の悪夢のような出来事でした。一週間、ずっと泣き崩れている我々のもとに、冥福を祈りに、僧侶が来て下さいました。誰にも恨まれることのなかった善良な母がなぜ、憎たらしい父より早く死ななければならなかったのか?どうしてなのか?私は問いただしました。僧侶は、「人生には三つの坂がありましてな。ひとつは上り坂、そして、下り坂、最後に、まさか」とおっしゃいました。唖然とする私の顔を尻目に、僧侶はどや顔でした。さて、そんなことはこの際、よしとして、私が申し上げたいのは、「おかん、うざいねん」とか言ってないで、精一杯、日々、母親に感謝し、そのことを素直に伝えておいて欲しいということです。十月十日も、不自由な思いをして妊娠生活を送り、産んだ後も、昼夜わかたず泣く赤ちゃんであるあなたの世話をし、睡眠不足でふらふらになり、あなたのおしっことうんこまみれになって育ててくれた母親を、マザコンだと言われようが、あなたが大事にしないでどうするのか、ということです。お母さんは家事・洗濯をするために生まれたロボットではありませんよ。
だから、いまなか耳鼻咽喉科の待合いの本棚には、子供さんを連れて来るお母さま方が退屈しないように、晩御飯の献立を考えるヒントになる本や親子で行きたくなる場所を紹介する本がいっぱいです。忙しいのに、頑張って可愛いわが子を連れて来て下さっているのですから、せめてそれぐらいはさせて頂きます。
さて、法要のあとの食事会は、高槻市の名勝・摂津峡の山水館に行きました。お食事つき日帰り入浴を利用しました。絶景の露天風呂を含め、2010年10月のリニューアルにより、さらにグレードアップしていました。

当院には、名古屋など遠方よりお越しの患者さんもいらっしゃいます。高槻駅から送迎もあるこの旅館にお泊まり頂くのがよろしいかと思います。