今年の日本東洋医学界学術総会は鹿児島で開催されました。私の発表は、最終日の午後、演題名は『咽喉頭異常感に奏効する半夏厚朴湯の作用機序に関する一考察』です。「のどの異常感に、漢方薬は大変有効です。そのなかでも特に奏功率が高いのが半夏厚朴湯です。そこで、どうしてそんなに効くのかについて解明を試みました。また、半夏厚朴湯以外に有効な漢方薬の選択法や実地臨床での着眼点についてもお話します」という内容でした。昨年の京都でのこの学会ではシンポジウムに登壇したうえに、ポスター発表までしたのですが、春からの疲労の蓄積で疲弊してしまい、シンポジウムの打ち上げに参加しなかったほどでした。今年も徹夜で発表スライドを作り、行きの新幹線の中、師匠の峯尚志先生の隣の座席で、必死に仕上げているという状態でした。
今回は、初日の夜、大阪のフレンチレストラン・ル・クロの黒岩功主宰(鹿児島ご出身)に紹介してもらった『千代茶屋』の塩ちゃんこでスタミナの回復を図りました。芸能人や各界のスポーツ選手ご用達のお店ですが、店主がとにかく気さくで心地良かったです。翌日、昼休みに島津斉彬など日本の近代化を支えた島津家ゆかりの名勝・仙巌園を見学しました。桜島を借景にした庭園が魅力の市内随一の観光スポットとのことでしたが、雨天で肝腎の桜島が見えず、がっかりでした。そこで、最終日はその桜島に乗り込んで観光しました。溶岩がごろごろしていてなかなかの迫力でした。また、この荒れ野に咲く植物もあることを知り、驚きました。
学会の打ち上げは漢方仲間の山崎武俊先生や紀優子先生とともに『ひご家』で行いました。黒豚のネギしゃぶ、地鶏など薩摩の食材を堪能しました。二次会に、ワインバー・『プリュム』へ向かったところ、アイアンマンに遭遇しました。声をかけたところ、我々の宴席にも来てくれ、お店ごと大いに盛り上げてくれました。
鹿児島の街でも彼の知名度は高く、店主のソムリエールを初め、女性にも人気を博していました。
さて、発表は無事終わり、賞賛のお声も頂くことができました。しかし、学会でへろへろになって帰ったのでは、翌日からの外来に差し障ります。今年は、パワースポットとして名高い高千穂で一泊して帰ることにしました。じゃらんネットで高い評価を得ている『末広旅館』という小さな旅館に泊まりました。夕食は、お米や川魚、地元の珠玉の食材を活かした純朴で美味しいお料理でした。とにかく嬉しいのは、尊敬する師匠の峯先生がご一緒してくださっていることです。『夜神楽』見物もしました。写真は、天岩戸に隠れた天照大神の興味をひこうとその前で踊る鈿女(うざめ)です。
質素ながらもなんだか嬉しくなる朝食を頂いた後、朝一番で高千穂峡に向かいました。お目当ての貸ボートに一番乗りです。ここは、「神々が地上に降り立つ際、この地に水がなかったために天上界の水の種を移し、その水によって潤っていると伝わる神秘の渓谷」です。原生林が覆う深い谷にはキラキラと木漏れ日が差し込み、朝イチは特に雰囲気バツグンでした。日本の滝百選・『真名井の滝』をバックに記念撮影しました。
この写真に一緒に写ってくれているカルガモたち用に買った餌を後続する美女2人組に譲り渡しました。
神の水が満ちる高千穂峡は納得のパワースポットでした。私は新緑の紅葉が大好きです。続いて訪れた『続日本後記』にも記されている高千穂神社も荘厳でした。縁結び祈願で知られる『夫婦杉』のまわりを峯先生と3周しました。観光スポットとして有名なのは天岩戸神社で、その近くの天安河原が最強のパワースポットとされていますが、私はお勧めできないものを感じました。その反対に、素晴らしく良質な『気』を感じたのは『くしふる神社』です。天の孫・ニニギノミオトが降臨されたとされる『くしふる峯』、古くは峯そのものをご神体としてお祀りしていただけあって、辺り全体、とりわけ杉の木立から溢れるような力強い『生命エネルギー』を感じることができました。ここの境内で偶然、先ほどの2人組と遭遇しました。カルガモの餌はさらに後続するカップルに譲ったとのことでした。お2人は、くしふる峯で、奇しくも峯先生から『元気』をもらっていました。
この日のランチは、旅館の方に紹介してもらった超隠れ家的お蕎麦屋さん『神代庵』で、大将渾身の手打ち・十割そばを頂きました。女優の中谷美紀さんや洞口依子さんも食したとされる天然うなぎも頂きました。天ぷらもお蕎麦も本当に美味しかったです。
神話の里・高千穂から南阿蘇やすらぎロードを通り、熊本駅に向いました。途中、阿蘇山麓の『白川水源』に立ち寄り、こんこんと湧き出る美味しい名水を頂きました。昔、大分医大のA先生に教えて頂いたとっておきの水源地とちょっと違うような違和感を覚えました。さらにこの地とは不釣り合いなほど巨大なパワーストーンをたくさん擁したお店で珈琲を頂きました。店内の1200万円の水晶と、お庭にある驚くほど巨大な水晶と記念撮影しました。私はとんでもないハンドパワーを得たかも知れません。
師匠とのかけがえのないひとときを過ごしたというのに、最後の最後まで、「本場の馬刺を食べたい」という私のわがままを叶えるべく、峯先生が探し当ててくださった熊本駅構内の居酒屋『HERO海』で、夕食を食べて帰阪することになりました。さすが居酒屋甲子園・日本一のお店だけあって、新鮮な馬肉、そして豊富な海の幸、納得のいくお味でしたが、一番驚いたのはここの店員さんの外連味のない笑顔です。
この笑顔に秘められた究極の『無邪気』、最後の最後に、『最高のパワー』を頂くことができました。