【第162話】 われもしコロナウイルスと戦えば

中国の武漢で発生したコロナウイルスによる呼吸器感染症に対して、当院では検査機器も持たず、抗ウイルス治療薬もなく、今のところ全く手も足も出ず、専門機関に委ねるしかないことは前話でお話しました。本当に情けないかぎりです。

しかし、漢方薬は抗生物質もワクチンもなかった時代において、「一族の半分が死んでしまう」疫病の大流行の危機を救って来ました。

私の些細な経験ですが、インフルエンザにおいても抗ウイルス薬と漢方薬の併用は大変有効です。これは抗ウイルス薬によるウイルス増殖の抑制と漢方薬による抗炎症効果、さらにサイトカインストームの予防効果があると考えています。コロナウイルスには抗ウイルス薬がないため、風邪症状の経過のあと、一気にサイトカインストームが起こり、致死に至っていると思われます。

残念ながら私はまだコロナウイルスと対峙することすら出来ませんが、このブログにも何度となく登場して頂いた金沢大学の小川恵子教授が日本感染症学会において、素晴らしい発表をして下さいました。その要点を示すとともに、全文も掲載致します。

 

http://www.kansensho.or.jp/modules/news/index.php?content_id=140

  • 予防薬としては、補中益気湯や十全大補湯が考えられる。
  • 軽症から重症患者では「清肺敗毒湯」に効果がみられる。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B8%85%E8%82%BA%E6%8E%92%E6%AF%92%E6%B9%AF

これはエキス製剤では麻杏甘石湯+胃苓湯+小柴胡湯加桔梗石膏で代用できる。

ちなみに当院ではアデノウイルスによる咽頭炎と咳嗽に、五虎湯(麻杏甘石湯+桑白皮)+小柴胡湯加桔梗石膏を処方し、手応えを感じている。

その他、病邪の動向や症状に応じて別のエキス剤の組み合わせも考える。