【第16話】 カルメン

  今月末の全国学会のシンポジストとしての準備も忙しい最中、今日は関西歌劇団によるオペラ公演を観に行きました。フランスオペラの代表的作曲家であるビゼーの作品、あの「カルメン」です。

 

実は、ブログ第3話にご登場頂いた日本を代表するテノール歌手の清水徹太郎氏・ご本人に、月曜日のお昼、突然のお誘いを頂いたのです。激しい稽古に疲れ果てたご様子でお越しになられた清水氏でしたが、私の承諾に「えっ?先生、来てくれるんですか?すごく嬉しいです」とおっしゃって下さいました。それから6日間、いろんな女性に声をかけたのですが、予定が入っているとか、オペラは苦手とか、断られ続け、結局一人ぼっちで出掛けることになりました。私は、子供の頃からミュージカルが大好きで、劇団四季の公演はしばしば観劇して来ました。特に「CATS」は台詞を覚えるぐらい何度も観ました。カラオケで「オペラ座の怪人」を歌うこともあります。しかし、恥ずかしながらオペラを観るのは初めてです。幕間の休憩時間にワインを楽しむセレブな方もいらっしゃるというのですから緊張です。

 

いざ伺ってみると、私の座席は2階の最前列という招待客席でした。勿論S席です。そこからは、大阪音楽大学・ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団の演奏ぶりも観察することが出来るという特等席でした。

 

 

どうにも台詞が聞き取れないと思っていると、フランス語での上演でした。しかし、ちゃんと字幕付きでした。フランス語でないと楽しめない醍醐味を味わうことが出来ました。

 

そして肝腎の清水氏はなんと自由奔放な女性・カルメンの恋人、ドン・ホセ役でした。関西歌劇団の歌手のみなさんの歌声も素晴らしかったのですが、清水氏の歌声はその中でもずば抜けていました。恋敵・エスカミーリョとの決闘シーンでは、ホセの声量が圧倒的に秀でていて、ホセの歌声しか聴こえないほどでした。本当に感動的な美声でしたが、こんな素晴らしい声の持ち主を診療していただなんて、嬉しいやら空恐ろしいやらです。

 

オペラ・カルメン、大いに満足しました。幕間に、異常に長い縄を持った奇妙な動きのオッサンが舞台に現れました。正確には、舞台の袖から縄の端を持って登場したので、反対側に何が繋がっているのかと注目していたところ、ただ単にめちゃめちゃ長いだけの縄でした。どうしてそんなに長い縄を持って現れたのか、全く謎でした。私は一人、声を殺して笑っていました。恐らく相当名の通ったフラメンコダンサーだと思われます。最後の舞台挨拶では喝采を浴びておられました。勿論、キャストに対する喝采の中では、清水氏に対する拍手が一番大きかったと感じました。

 

ちなみに私は、2010年10月、「愛と情熱のフラメンコ」を観に行き、フラメンコダンサーと間違われたことがあります。当院の井原さんも写っているので掲載しておきます。